【from Kitakagaya】実行委員に聞いたメイカーイベント 「つくろか!」の裏側(後半)

ファブラボ北加賀屋の森本です。前回に引き続きメイカーイベント 「つくろか!」実行委員会の皆さんへのインタビューをお届けします。

インタビュー前編では「つくろか!」の企画から開催までのお話を伺いましたが、今回は連動企画として開催された音楽イベント「monument」の話を皮切りに、大阪のメイカーシーン、今後の展開などについてお話いただきました。

連動企画「Monument」について

森本「連動企画として開催された音楽イベント「go/hack Monument」について教えてください。」

go/hack Monument
音と光と映像のメイカーズ、アートとテクノロジーのクリエイティブコーディング。パフォーマーとオーディエンスのインタラクティブ。みんながあつまる、つながるあそびば。
HP: http://gohackcolony.com/

松川「僕は元々音楽イベントの企画、運営をずっとやっていて、ライブハウスやクラブでバンドやDJを呼んでパーティを開催していたのですが、デジットハッカソンなどメイカー界隈の動きに刺激を受けてものづくりにも興味を持ち始めました。また、コワーキングスペースやファブスペースでの人の過ごし方がいいなと感じていて、音楽の現場にもシェアやコラボレーションというのを取り入れられないかなと思っていました。そんな中、「つくろか!」が開催されるということで、日程を合わせてものづくりの要素を取り入れたパーティを企画しました。
gohack – monument | Youtube

「つくろか!」でも、音が鳴るものや光るものはブースに並んでいましたが、ああいうのは音響や照明の設備のあるライブハウスの方がパフォーマンを発揮できると思うし、展示ブースとは違った見え方をして面白いと思います。今回は「つくろか!」で作ったものを持ち込まれることはなかったですが、イベントから来た人は多かったので、接点は作れたのではないかと思います。

音楽面ではライブコーディングの演奏を中心にやりましたが、ライブコーディングもまだまだやっている人もイベントも少ないので、プレイヤーが発表できる場を作れたのも良かったです。また、ライブコーディングはいわゆる即興音楽になりますが、ものづくりも即興でやる面白さがあると思うんですね。できたものを見るのも面白いですが、できていくところを見るのも感動すると思うので、そういうのもやってみたいですね。

とりあえずパフォーマンスする人にとっての場は作れたのではないかと思うので、音楽とMakeのさらなるコラボレーションを目指して今後も続けていきたいと思います。」

「つくると!」シリーズについて

森本「「つくると!」に始まり、「つくろけぇ!」「つくるよ!」そして今回の「つくろか!」と方言シリーズのメイカーイベントが開催されていますが、全体のビジョンがあればお聞かせください。」

小林「すごい技術力の人しか出展できないという雰囲気を壊したいというのが「つくると!」のコンセプトでした。最先端の技術研究をしている人もスゴイ技を持った職人さんも夏休みの工作で何か作った小学生も、やっている人の作りたいという気持ちには優劣はないので、それらが同列に並んでいる状態にしたいんですね。当然ジャンルもごった煮で、作りたいと思う人が作ったものを展示する場にしたいと考えています。

また、「つくると!」の裏キーワードは「ゆるふわ」なんです。先ほども言いましたが、”先鋭化しない”、”敷居を下げる”、”誰でも入れる”、そこを一番大事にしており、そこから出展者同士が仲良くなって、新しいものが生まれるといいなと思っています。

例えば、前回のつくるとでは、プラモデルを作る人と、ジオラマを作る人がそれぞれ出展していて、両者のブースを見た来場者から香椎駅のジオラマを作ってほしいという依頼がありました。その後、実際にイベントで知り合った二人が力を合わせて作品を制作し、最終的に公民館に寄贈されました。そういう新しいものが生まれるきっかけにしたいですね。そのためにも、できるだけ多くのジャンルの人を呼びたいと思っています。」

大阪のメイカーシーンについて

森本「小林さんは各地のメイカーシーンを見てきたと思いますが、大阪のシーンはどういうイメージですか?」

小林「うーん、おっさんが多い(笑)。年配の方の現役感がスゴイなと思います。」

森本「日本橋(大阪の電気街)があるのも大きいかもしれないですね。そこに昔からコミュニティがありますし。」

小野塚「電機メーカーも多いですしね。技術者が多い。」

小林「福岡ではハードウェア系のメーカーが減り、趣味でやっている人も少なくなったんですね。まぁ北九州市にはいっぱいいますけど。その後、ここ数年のメイカームーブメントの流れでハードを作りたいと思って集まりだしたのが若い人たちだと思います。福岡で「つくろか!」をやった時も、周りはほとんど自分より若い人でした。大阪は(やってるとは思いますが)もっと若手を仲間に引き入れた方がいいんじゃないですかね。」

松川「大阪のシーンについてはわからないですが、今回小野塚さんの提案で「つくる場」というファブスペースのマップを作ったんですね。その中で、身近にものづくりをサポートしてくれる場がある、そこにいろんな人がいるということがわかりました。今回は45ブースの出展があり、500人近く来場してくれましたが、もっと大きなシーンになるポテンシャルがあると思っています。
また、当日のトークイベントの中で「ファブスペースの意義」についての話がありましたが、イベント会場、繋がる場所、きっかけとなる場所としてファブスペースは重要だと思います。なので、次回は会場に簡易ファブスペースを作りたいですね。」

小林「ワークショップも増やしたいね。大変だけど。」

松川「ワークショップは来た人も楽しめるし、作るきっかけにもなるし、やりたいですね。」

イベント開催後の動きについて

森本「今回のイベントがきっかけで始まった動きはありますか?」

小林「メイカーによる技術関連書籍のレビュー誌を作っています。過去にいろいろイベントを開催してきましたが、アンケートで「良かった」「楽しかった」という感想をもらって満足していいのかとずっと思っていました。人の繋がりができるという無形の成果も重要ですが、何か形になるものを残したいなと。そして、今回会場を貸してくれた図書館に対して何らかの貢献ができるものはないかと考えていたところ、レビュー誌のアイデアが出てきました。
図書館は技術書をいっぱい持っているけど、どれが本当に良い本かわからない。一方、メイカーはそれがわかる。そこで、メイカーによるレビュー誌を作成することによって、図書館は本の詳しい評価が得られ、メイカーも裾野を広げることができるのではないかと。そのようなお互いWin-Winになるものを残したいと思っています。」

次回の予定について

森本「最後になりますが、次回の予定は決まっていますか?」

小林「ノープランです(笑)。図書館サイドからはもう一回やってもいいと言ってもらっています。僕も同じ場所でやり続けたいという思いはあります。そのほかにも声をかけてもらっていますが、決まるまではノープランということで。」

小野塚「僕は10月ぐらいにやりたいと思っています。」

小林「とりあえず何事も多数決で決めるのはやめようと思っています。何かをやりたい人がいたら、その人がみんなを引き連れてやればいい。なぜなら、ボランティアベースでやるには、いかに個人のやる気を削がずにドライブさせるかが重要だからです。たまに企業の論理をボランティアイベントに持ち込む人がいるんですが、給料をもらってる状況と無償でやっている状況では根本が違うんですよ。給料をもらってるわけでもないのに、連絡を密にしろと言われてもしんどい。頑張れば一回はできるけど続かない。ボランティアベースでみんなのモチベーションを維持して長く続けるためには、物事を多数決で決めて進めるのではなく、やる気のある人にモチベーションを下げずに走ってもらうことが重要だと思います。なので、今みたいに「10月にやりたい」って人がいたら、フーンそうなんだ、やるんだったら手伝うよ、という感じで聞いています。この指止まれって言う人がたくさんほしいですね。」

森本「指がたくさん出てきて、逆に疲れるってことはないですか?」

小林「魅力的なアイデアにみんな集まるので、全部は実行されないと思います。多産多死でいいと思う。出したアイデアが死んでも傷つかないよう気にかけつつ、いかに多産を目指すかが重要だと思います。」

松川「今後「つくると!」系のイベントが東京で行われるかもしれないし、名古屋でもできるかもしれない。手を挙げた人ができるというのはすごい良いと思う。」

小林「そのイベントはまた違う雰囲気になると思うし、「つくろか!」がなくなって、数年後、別の人が「つくりまっせ!」を始めてもいいと思います。」

森本「既にやりたい人がいるので、とりあえず第2回はありそうですね。新たなアイデアもどんどん出てきてますし、次回も楽しみにしています。本日はありがとうございました。」


以上、前後半に分けてお届けした「つくろか!」実行委員の方へのインタビュー。それぞれ自分が実現したいことを自分のやり方で推進し、それが結果的にイベントの裾野を広げ、シーンの拡大にも繋がっていく、そんなプロジェクトの特性が垣間見えました。
また、松川さんのお話にありましたが、ファブスペースは様々な「きっかけ」が生まれる場として期待されている面もあるので、ファブラボ北加賀屋も、人のつながりが生まれ、活動の拠点となるコミュニティスペースとして引き続き活動していきたいと思います。

<取材協力>小林竜馬、小野塚幸夫、松川哲也、xin suzuki

<記事作成>森本康平