ファブラボ適合度評価

*訳注:以下のドキュメントは、FAB WIKIに掲載されている「FabLab Conformity Rating」の日本語訳です。詳しくは後述する「ファブラボ適合度評価の位置づけについての解説」も併せて参照してください。

ファブラボ適合度評価は、各ラボが「ファブラボの名称を利用するための条件」をどの程度満たしているかを示す指標となるものです。これはラボの現状を簡潔に要約し、時間とともに変わっていくものとして理解すべきです。この適合度は、自己評価あるいはコミュティによって(つまり他者がどのように受け取っているかによって)評価されます。

ファブラボの思想としては、すべてのラボが常にオープンでフリー(自由・無料)なアクセスを提供し、グローバルなネットワークに積極的に参加することが理想です。しかしながら、これは現時点ではすべてのラボにとって現実的なものではないかもしれません。ラボによっては、経済的な負担を調整したり、ユーザー基盤の変化に対応するために時間を割いて運営内容を変更することも必要になるでしょう。適合度がAAAAに満たないラボでは、運営者や管理者がそのような内容を検討することが期待されます。 

 

ファブラボへのアクセス

ファブラボ憲章の順守

共通の機材とプロセス

世界的なファブラボネットワークへの参加

A

一般の人々が無料で自由に利用できる(ただし、材料費等は実費の場合もある)

ファブラボ憲章を施設内とウェブサイト上に明確に掲示している

すべての(あるいはそれ以上の)コア機材・プロセスを備えている

多くのラボと積極的に連携/協働し、ネットワーク活動に参加、もしくは主導している

B

一般利用は有料のみだが、だれでも参加できる

ファブラボ憲章の理念を尊重している

大半のコア機材・プロセスを備えているが、一部不足しているものがある

いくつかのラボと連携/協働し、ネットワーク活動や議論に参加している

C

非公開、または特定のグループのみが利用できる

ファブラボ憲章について言及していない

ファブラボのプロジェクトやチュートリアルの実施は困難である

外部との関わりをほとんど持たず受動的に関わるのみ、もしくはネットワークにまったく参加していない

例:

アムステルダム:AAAA=誰でも無料で自由に利用でき、ファブラボ憲章を明確に採用し、すべての機材とプロセスを備え、世界的なネットワーク活動に積極的に関わっている。

A2(フロリダ):CCCC=大学の学生しか利用できず、ファブラボ憲章についての言及はなく、機材はレーザーカッターと3Dスキャナ/プリンターのみで、電子工作はなく、ネットワークに参加していない。

原文:http://wiki.fablab.is/wiki/Fab_Lab_conformity_rating
初訳:2013年5月25日 巾嶋良幸
改定:2015年5月5日 FabLab Japan Network


 

*訳注:「ファブラボ適合度評価」の位置づけについての解説

ファブラボの国際組織であるFab Foundationは、「ファブラボの名称利用に必要な条件」として、以下の4つを示しています。

  1. 一般市民が自由に工作機械を利用できること
  2. ファブラボ憲章に基づいて運営されていること
  3. 共通の工作機械を備えていること
  4. 世界的なファブラボネットワークに参加すること

一方で、新たなファブラボの立ち上げにあたっては、必ずしもすべての条件を完全に満たした状態でスタートするわけではありません。理想的なファブラボになるまでには様々な段階があり、無数の多様性があるというのが実状です。

これに対し、4つの条件がそれぞれどの程度満たされているかを示す指標として「FabLab Conformity Rating(ファブラボ適合度評価)」がつくられました。これは、「立ち上げ準備段階(FabLab β)」から「理想的なファブラボ」に至るまでの中間的な状態について、各ラボの現状を各ラボ自身が自認し、克服すべき点を明確化することを目的につくられたものです。

この適合度評価では、4つの条件それぞれに対してA〜Cの3段階で指標化されています。すべての評価がA(=AAAA)であれば、条件が完全に満たされた理想的なファブラボといえます。しかし現実的には、運営上の都合や経済的な理由などによって、すべてがAにならない場合も少なくありません。それでも、これらの条件の意義を十分に理解し、それを満たそうと具体的な努力をしていれば、ファブラボと名乗るのは妥当と言えるでしょう。FabLab Japan Networkでは、「適合度評価が「BBBB」以上であればファブラボと呼ぶ」という認識が共有されています。一方で、4つの条件のいずれも満たしていない「CCCC」の状態でファブラボを名乗るのは適切ではありません。

ここまで、ファブラボとは何かを判断するための「形式的」な基準について説明してきましたが、その本質を考える上で大切なことはこれだけではありません。ファブラボは「パーソナルファブリケーションの最良の実践を生み出すための場所」です。形式的に条件を満たしているだけでなく、その活動の内実こそが重要であるといえます。