こんにちは、北加賀屋の白石です。世の中はお盆(直前)!毎日が茹だるような暑さですね。みなさまいかがお過ごしでしょうか?
一年ぶりのリレー記事ということで、なんやかんやあった気がするのですが、あまりの暑さで思い出せないので、直近の出来事である、ラボのシステム変更とファブアカデミーについて、そして、9月に行うイベントの告知を織り交ぜて書こうと思います。
ラボの運営システムの変更
この4月にファブラボ北加賀屋は丸4年の活動を終えて、10進法に慣れている私たちにとっては区切りの良い感じのする5年目に入りました。4年も経つと、機械も壊れていきますし、社会状況も変わるし、参加する人間も入れ替わりがあります。
ということで、ラボの運営システムの見直しを図った方がいいんじゃない?と思い立った私たちは少し前から着々とその準備を進めていました。
4月からの改編でもっとも大きな変化は、機材利用ためのイニシエーションの部分です。ラボの機材利用について日本国内多くのラボが、機材に対する講習会を開き、そこに参加していただいた方が機材利用をはじめられるといった方式をとっています。
我々も同様にこの講習会方式を採用していました。スタート当初、講習担当者は少人数だったのですが、スケジュールの都合もつかなくなってきたため、人数を増やすことになりました。
この時に必要になったのが講習資料です。もちろんそれまでの講習でも各々資料を作り対応はしていたのですが、データの引き継ぎやアップデートのことまではあまり考えておらず、好き勝手にやっていたのが実状です。
そこで登場したのがFabble!このページを見る人にとってはおなじみのサイトかもしれませんが、簡単に説明すると、ものづくりのためのレシピサイトのようなものです。ここに使い方をまとめることで、機材利用のためのチュートリアルを作ることが可能で、アカウントを持っていれば誰でも編集できるというとても便利なサイトです。
開発者諸氏はもっと個人的な制作の実験ノート的に使って欲しかったかもしれませんが、あ!これ便利ってなれば別の方法でも使っちゃうのが利用者心理ですよね。
そんなこんなで、Fabbleにチュートリアルをまとめ、このおかげで、多くの方が北加賀屋で講習担当者として運営を手伝ってくれました。
しかし、利用される方ってちょっと時間が空いてしまうと残念なことに教わった内容を忘れてしまうんですよね。それで、なんども同じことを話す必要がある。それに講習自体もチュートリアルを読み上げるだけになってしまって、参加者の体験が残念なものになっているんじゃないかなと思っていました。
どちらも関わる個人が悪いわけではありません。誰だって忘れるし、チュートリアル用意されればそのように進行するってのが日本人の真面目さがでた良い面だとも思います。
でも、教えてくれている人たちはたくさん変な経験(実験)を体験してきた人たちばかりで、一般的な機材の使い方を繰り返しオウムのように話し、実体験の部分を端折るような形になってしまうことは勿体無く感じていました。利用者の方だって、なんども同じことを聞くのは心苦しいかもしれません。
そこで今回採用したのは、宿題型の反転学習的講習方法。チュートリアルもできる限りビデオでまとめて、ついでに簡単なデータ制作の方法も載せています。
この改変によって、利用者の方に一般的な情報については自習してもらい、一般的な情報を入れてもらった上で、それでもわからないところとか、高度な使い方について教えてもらうという状況を作りたいなと考えています。
制作された課題
これを読んでいる博識な皆様はご存知と思いますが、このアイデアは最近世の中で興隆している、MOOC(Massive Open Online Course)と言われるものを参考にしています。私もedXをはじめ、いくつかのプラットフォームで受講したことがありますが、非常によくできています。時間に縛られず、自分のペースで進められるし、質問があれば掲示板を通して聞くこともできます。
このようなシステムとの目標として、
”学びたい人はいつでもどこでも学習リソースにアクセスすることができる。
学びたいと思っている人が何を知りたいかを共有することができる。
公共の知識として広めたいと思っている知識を知りたい人に伝えることができる。”
(wikipediaより引用)
ということが掲げられ、現代の情報技術を十分に利用し実現されたこれらのプラットフォームは、まさに学びのユートピア。素晴らしいですね。
この理想郷を拡張するために、私もデジタルファブリケーション分野において加担したいのですが、如何せんお金と人材がないというよくある問題にぶち当たります。まあでもとりあえずできることからやってみようと始めたわけですが、そこにはボトムアップな取り組みだからこそのアイデアも加えています。
例えば、講習用のビデオも細切れでユーチューブにアップすることで、ポストプロダクションのコストを下げようと考えています。できる限り撮って出しでアップする。わからないところがあれば補足・改変ビデオをあげて対応するって感じでアップデートをしていこうと思っています。
んまあ、うまくいくかどうかはわかりませんが地道にやっていくつもりです。
ファブアカデミー
オンラインコースの話になった以上、ファブラボにに関わる人間としては触れておかなければならないことが1つあります。それは「ファブアカデミー」です。
この講座も、他のプラットフォームと同様に「オンライン上で開かれている」のですが、ビデオを採用している他の講座とは違い同時的です。また、多くのプラットフォームは基本無料で、サーティフィケイション(修了証)が欲しければお金を払うといった形をとっていますが、ファブアカデミーは受講するのに$5,000かかります。
これを高いととるか、安いととるかは受講者次第。もちろん講義の内容も充実したものなのですが、同時性の良い部分を活かしてガンガン質問やレビューをぶっこんで存在感をアピールできれば安いものだと思います。
北加賀屋からも今年の1月から半年間かけてこのプログラムに参加したお2人がいます。
紆余曲折を経て無事2人とも卒業を迎え、先日チリで行われたファブラボの国際会議で卒業式を迎えました。2人ともおめでとうございます。そして、お疲れ様でした。
卒業式の様子
彼らの紆余曲折の過程はこちらのページから垣間見ることができます。是非見てくださいね。
ファイナルプロジェクト:my Biosphere
ファイナルプロジェクト:Inventory Bot
彼らがこの経験を生かして、これから北加賀屋で何をするのかとても楽しみです。次のリレーブログでは彼らの活動報告が書かれるといいなと期待して待ちましょう。
イベントのお知らせ
そしてイベント告知。アカデミー体験記を中心に世界会議の様子などを共有するイベントを、9月2日に北加賀屋で行います。
会場は私たちのラボのあるコーポ北加賀屋からちょっと離れた、千鳥文化という北加賀屋に新しくできるオルタナティブスペースで行う予定です。興味のある方は是非いらしてください。
まあ、だらだらと書かせてもらいましたが、言いたいことは1つ。
ファブラボ北加賀屋はいつも応援してくれる人材を求めています。なんかできそうと思ったら、もしくはなんかできないかもしれないけど関わりたいと思ったら来てください。門戸は金曜日と土曜日と日曜日に開かれています。
あ、そういえばもう1つ重要な改編があった!今年の5月に一般社団法人として法人化しました。これからもどうぞよろしくお願いします。