【from Shenzhen】深センのいま

すすたわりです。今年のFabLab代表者会議FAB12は8月に深センで開催されますが、先日一足先に今回の主催であるFabLab Shenzhenを訪れて来ました。今回、FabLab訪問も含め、前半はチームラボの高須さんが主催する第4回ニコ技深セン観察会に参加させて頂きました(参加者の方が沢山レポートされていますので
そちらもご参照ください)。

image09写真1.FabLab ShenzhenことSZOIL

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写真2. David Liさんの深センでのハードウェア・スタートアップのお話

FabLab Shenzhenは福田地区という、華強北路の南方に位置するオフィス街の中にあります。ここもうちと同じようにダブルネームで、SZOIL: Shenzhen Open Innovation Labというのがメインの名称です。深センらしく、ハードウェアスタートアップのサポートが主な業務のようで、
SIDAという深セン市の工業組合が運営しています。FabLabと言ってもオフィス街の中にあるので、子供連れの家族が立ち寄ったり、学生が個人プロジェクトを行う雰囲気ではなく、事業化を進めるためのプロトタイプを行う場に見えました。

深センで実際にどのようなスタートアップ・ベンチャーがあるのか、ということでいくつかの会社を見学しました。中でも面白かったのが、Makeblockという小型のアルミ製のフレームを使ってロボットなどを組み立てられるキットを販売しているベンチャーです(写真3)。Makeblockは2013年に設立された深セン発のベンチャーで、同じく深センにある米国資本のインキュベータである
HAX: Hardware Acceleratorのサポートなどを受けています(Acceleratorプログラム S1-2012の修了チーム)。製品開発は写真3のように部品倉庫の棚の前で行われており、フットワークの軽さを感じました。製品自体については、教育用途だけでなく、様々な機構のプロトタイピングにも利用できるものです。丁度LEGOのマインドストームが競合になりそうですが、アルミ製のため、剛性が高く、より高精度なモデルが作れそうです。帰国後に営業の方が弊社にも相談に来られる程日本への展開にも熱心で、今後もっと身近で見掛けるようになりそうです。なお、現在一部のキットは既に
スイッチサイエンスで購入可能です。

image02写真3. Makeblockの開発室

今回の高須さんの深セン・ツアーの中で、最も面白かったのが、深センにある日本の工場です。もちろん日本の電機メーカが自社工場を深センに持っているというのはめずらしくありませんが、他社の製品を受託製造する工場(いわゆるEMS)は深センの会社が運営するものしか知りませんでした。今回見学させて頂いたJENESIS HOLDINGSは、日本の会社で深センでの部品調達、個別部品の全数検査、筐体への部品組み込み、組み立て後の動作試験を受託している会社です(写真4)。基板製造、部品実装、筐体製造は自社では行っていませんが、これらの外注も含めてお願いすることも可能とのことです。さらに製品のユーザーサポートセンターの代行も行っているとのこと。

image01写真4. JENESISの組み立てライン

最大の特徴は、日本市場向けの製品のみ受託しているという点です。全数検査はもちろん、日本のコンシューマを想定した梱包へのケアまで行い、高い品質を提供しています。ミーティングルームには、これまで手掛けて来られた製品が並んでいました(写真5)。

また、製造コストを下げる方法は、もちろん人件費が安いということもありますが、できるだけ市場に既に流通している部材を流用することだそうです。例えば写真5はタブレット製品が多いかと思いますが、タッチパネルや液晶パネルを一から探してくるのではなく、JENESISで取扱い実績のある部品を使う、さらに周辺の駆動回路なども一から設計するのではなく、既存のモジュールを流用する、さらに筐体も類似の製品のものを組み合わせるなどです。もちろん他社が自社製品用に設計した部材の場合は流用することは出来ませんが、いわゆるデファクト・スタンダードとなった類似の部材がたくさん流通しているようです。従って、部品調達はこの辺りの事情を考慮して探す必要があることから、結果的に自分で調達するよりJENESISに任せた方が、製品価格を下げられる場合が多いようです。気になるMOQは1,000台とのこと。

image08写真5. JENESISの手掛ける製品の一例

また、FabLab以外のいわゆるメイカースペース(創客空間)もブームのようで、華強北路の電子城内にも数ヶ所確認できました。写真6は深セン市からのサポートを受けているSegMakerというメイカースペースで、日本のDMM.makeなどを参考に作ったそうです。写真7は同じ電子城内のパーツショップの並ぶフロアの一角にある休憩スペースで、店員は理工系の大学生でした。

image07写真6. 華強北路の電子城内にあるSegMaker

image06写真7. 華強北路の電子城の一角にあるカフェ。レモンティーを注文

 

ここまで、深センの中心である電子部品街を見てきましたが、最後に深センの別の顔を紹介します。華強北から地下鉄で20分くらい行ったところにある南山地区内に、アートギャラリーやカフェなどの並ぶところがあります(写真8)。

image03写真8. アートギャラリーなどが入る南山地区

image05写真9. アートギャラリー

写真9のようギャラリーの他に写真10のようなフリーマーケットも開催されていました。工場の跡地を改装したらしく、その建物にSeeed Studioのメイカースペースが入っています(写真11)。これはロケーション的にも、3331に入っているスイッチサイエンスのはんだづけカフェに似ています。

Seeed Studioのスペースは、FabLabなどに良くあるように入口に沢山の作品が並んでいる(写真12)のですが、大きな特徴はこれらが全て自社商品を使用している点で、Makerムーブメントを広げつつ、しっかり自社の営業も行っている印象でした。

image00写真10. フリーマーケット

image04 写真11. Seeed Studioが運営する柴火創客空間

image11写真12. Seeed Studioのスペース入口に並ぶ作品

今回はこの他に、メカトロ部品やフィギュアショップなども見てきました。これらについてはこちらでレポートしています。