【from KandaNishikicho】2020年の振り返り

こんにちは、ファブラボ神田錦町の梅澤が2020年を振り返ります。

2020年はコロナウイルス関連の話題が常に付き纏う一年となりました。その話題ひとつひとつに、心に重石を置かれるような感覚でした。2021年は、気持ちのいい年末を迎えられることを願ってやみません。

withコロナのものづくり

withコロナのものづくりニュースとしてあげられるのは、感染防止策の為のフェイスシールドの日本全国での有志による量産でした。急激な需要拡大に生産が追いつかず、品薄状態になっているというニュースを耳にすることもあったのではないでしょうか。そんな中活躍したのが、日本中に広がる3Dプリンターユーザーのネットワークでした。ファブラボ平塚(designed ny 神奈川大学道用准教授)からオープンソースとして公開されたデータを基に全国各地で即日生産され、必要とされる場所に届けられたのです。ファブラボ神田錦町でも、ラボの3Dプリンターを稼働させ、量産プロジェクトに参加していました。

3Dデータはオープンソースデータとして、Githubで公開されています。使用する人にあせた構造の変更が各所で行われたり、3Dプリンターの特性を活かした量産用プリントデータの生成など、データの扱いや機材を理解している人たちの知が結集した結果、すばやい対応が進んでいきました。この一連の流れの中で、「オープンソース」「データの改変」「シェア」と言った、ファブラボコミュニティでも日頃から気にかけている仕掛けが、自然と広まっていったように感じます。そういった意味でも、近年ユーザーが拡大した3Dプリンターと、デジタルものづくりの利点が、過去最高レベルの活用事例となりました。

ファブラボの海外支援のかたち

(Photo by Koji Yamda)

20年の春、「デジタルものづくり工房(ファブラボ)による技術教育・普及促進プロジェクト」というブータンの国際協力に関する案件がJICAより公示されました。

ブータンでは社会課題の解決や産業の発展を、デジタルものづくり技術で支援することが期待されています。その為のスキル人材を育成することを目的として、JICAがブータン王立大学内にファブラボを設立支援する、と言う内容です。またファブラボの設立と並行して、教育モデルの開発を目指す事業に取り組みます。主に産業のプロトタイピングラボとしての機能と、グローバルのファブラボネットワークとの協業が期待されています。

これまでに無い、国際協力のかたちが試されています。国際協力の視点からファブラボに期待が寄せられていることは、関係者として大変喜ばしいことであり、今後持続した発展に繋がることを期待しています。

ファブラボ神田錦町の使い方

 

コロナウイルスが世界に蔓延する中、さまざまなイベントがオンラインに移行しましたが、それと同じように世界ファブラボ会議( FAB16@カナダ)は、急遽21年に延期され、代替の会議としてオンライン開催になりました。年に一度、世界のファブラボ関係者に直接会える機会でしたが、残念ながらバーチャルでの対面となりました。今年は、対面でコミュニケーションができることを願っています。

さて、ファブラボ神田錦町は渋谷時代から「アプライ制」を用いています。

ファブラボ神田錦町の利用を検討される際は、WEBサイトに掲載している「アプライシート」に、プロジェクト内容を記載いただき、当ラボまで申請ください。内容を見させていただき、ファブラボ利用方針に適したプロジェクトについて、取り組んでいただいています。もちろん、ファブラボ神田錦町のテクニカルスタッフが、プロジェクトゴールに向かって伴走いたします。

そのアプライ内容が、以前にも増して社会の課題に対しての解決策を探るような内容が多くなってきたように感じています。スタートアップエコシステム、SDGs、脱プラ、STEAM教育、などなど。それに限らず、さまざまなものづくりテーマの実験場として、ファブラボ神田錦町を活用してください。

世界に広がるファブラボコミュニティへのアクセスポイントとして、皆さまの利用をお待ちしています。

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