こんにちは。FabLab Saga 代表の陣内です。今回の記事では2020年に注力した2つのプロジェクトについて書きます。
どちらも Arduinoというマイコンボードを使った教育に関するプロジェクトです。
ファクトリー・サイエンティスト講座
ファクトリー・サイエンティストとは、『3つの能力を備えた人物像です。まず1つ目は「データエンジニアリング力」。これはIoTデバイスや計測機器、装置などを使って現場から適切な方法でデータを取得する能力。2つ目は「データサイエンス力」。収集されたデータや、他のデータと照らし合わせて有用な情報を紡ぎ出す能力。そして3つ目は得られた情報を元に戦略を練り上げ、データを説得材料にビジネスに活用する「データマネジメント力」です。様々なスキルや情報を組み合わせて、製造業のデジタルトランスフォーメーションを実現する人材』(ファクトリー・サイエンティスト協会HPより)と定義されています。
私は、FabLab のことを知っている方に向けては「FabLab がIoTを提案するならこんな形で、中小企業でもあまりお金をかけずにできるんですよ」と説明をしています。
元製造業担当のシステム・エンジニアでもある私にとって、FabLab で身に着けた Arduinoや電子工作の知識を、再び製造業のIT化推進のために使えることは大きな喜びでもあり、2019年に講師アシスタントのお声かけをいただいた時に二つ返事でお引き受けしました。 そして、今年になって、ファクトリー・サイエンティスト協会が正式に発足し2回のファクトリー・サイエンティスト育成講座に講師アシスタントとして参加させてもらいました。
ファクトリー・サイエンティスト育成講座では、WioNodeというデバイスを使用しています。Groveという規格化された端子で簡単にセンサ部品を取り付けることができるので、初心者でも手軽に取り扱えるデバイスです。
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WioNode(右)と光センサ(左)
このWioNodeをプログラミングし、Microsoft Azureを経由して、Microsoft Power BIで、データを可視化します。
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PowerBIで、光センサにより機械の稼働オン/オフの様子を表示している様子
2020年度のファクトリー・サイエンティスト育成講座は、新型コロナの影響で、すべてオンライン開催となりました。 2019年度は合宿形式で開催されたのですが、オンラインだと、出張の必要がなく、受講者もご参加いただきやすいというメリットがあります。
当初は、オンラインではきめ細かな指導ができるか講師陣も不安でしたが、TV会議や、動画配信、オンラインチャットなどのITツールをフル活用して、オンライン開催で全く問題なく講座開催できるようになりました。
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ファクトリー・サイエンティスト育成講座 オンライン開催の様子
ファクトリー・サイエンティスト育成講座は、今後も年4回のペースで開催される予定です。講座を通して、私自身も今まで理屈だけでわかっていても実際には使ったことがなかった各種センサを実際に使ってみる機会を得ました。これからも、この機会を生かしてもっとArduinoや電子工作の腕を上げて行こうと楽しみにしています。
佐賀県立鳥栖工業高校でのArduino講座
次にご紹介するプロジェクトは、佐賀県立鳥栖工業高校からのご依頼で行った、全10回にわたるArduino講座です。
こちらでは、Arduinoの初心者向けに各種センサの実験に使う部品一式そろった、このキットをまず使用しました。
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ELEGOO Arduino用UNO R3スターターキット (Amazonより)
このキットで様々なセンサ部品や、表示用部品、モータなどの基本的な使い方を学びました。
そのあとは応用編として、このロボットカーキットを組み立ててライントレースなどを行いました。
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ロボットカーキット(Amazonより)
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ライントレースのコース作成の様子
来年度は、ファクトリー・サイエンティスト育成講座も、鳥栖工業高校の講座も、さらに進んだ内容にチャレンジする機会が得られそうで、とても楽しみにしています。