ファブアカデミージャパンより、ファブアカデミー受講者のインタビューをお届けします(本記事はファブアカデミージャパンのWebサイトに掲載された内容を転載したものです)。
Fab Academyは、ほぼあらゆるものを作る方法を学ぶオンライン講座です。MITと各国のファブラボをビデオ会議システムで接続し、半年に渡る講義を通じて、デジタルファブリケーションや電子工作、プログラミングを基礎から実践まで学ぶことができます。現在2018年度の受講者を募集中で、日本では仙台/鎌倉/長野/浜松/北加賀屋で開講予定です(締め切りは2018/1/7までとなっています)。
興味がある方は、下記の各ファブラボ担当者までお問い合わせください。
- ファブラボ仙台(info@flatjp.com)大網
- ファブラボ鎌倉(y2miyacatsfab@gmail.com)田宮
- ファブラボ長野(info@fablab-nagano.org)村松
- ファブラボ浜松(takespacehamamatsu@gmail.com)竹村
- ファブラボ北加賀屋(admin@fablabkitakagaya.org)白石
2016年、大学生の時にファブアカデミーを受講した入江さん。社会人になってもおもしろいものを作り続ける入江さんに、受講の経緯や感想、どんな人に向いていると思うかなどをお聞きしました。
ファブアカデミーを受けた理由は「暇だったから」学生時代に受ける良さ
– 入江さんは学生時代にファブアカデミーを受講されました。そもそも学生時代にはどんなことをやられていたんでしょうか?デジタルファブリケーションには関わってらっしゃいましたか?
学部時代はweb、メディアをやっている学部でした。そのころからArduinoなどに興味はあって、学祭のインスタレーションでLED光らせたりはしていました。画面の外に出てインタラクションがあるのがおもしろいと思っていましたね。院ではもう少しデジタルファブリケーションを使ってハード寄りのことをやっていました。ファブラボ仙台にインターンに行ったりもしてましたね。
-ファブアカデミーを受けようと思ったのはなぜでしょうか?
アカデミーについて存在は知っていたんですが、元々受ける気はあまりなかったんです。周りで受けてた人が留学した先で受けていたので、留学して受けるものというイメージがあったんですが、留学興味なかったので(笑)。
九州大学で受講の資金支援プログラムがあることを知ったのが受けようかなと思ったきっかけです。1月末からと、ちょうど就活も終わって暇な時期だったので、じゃぁ受けてみようかなと。うん、暇だったからですね。
– 暇だったから(笑)。
やはり学生は時間があるので、人生でいつ受けるか自由に決められるのであれば学生時代に受けるのはいいと思います。ファブアカデミーの課題は、学校の課題に比べると結構重いので。一つ一つの課題について、やっつけではなく、じっくりいいものが作れるには物理的な時間があることは有利ですから。ただ、学生はお金がないのが難しいところです。自分の大学のように支援があればいいのですが。
「普通に生きていたらやらない、新しいこと」をできるのが楽しかった。
– 実際にファブアカデミーを受け始めていかがでしたか?特に力を入れて作ったものがあれば教えてください。
初回のウェブサイトを作るのはがんばりました。ウェブはその時点でもわりとスキルをもっていたのもあり。ふざけた感じのページを作りました。
マシンメイキングという、グループでマシンを作る授業があるんですが、それも印象に残っています。貝割れ大根の種を、寒天の台の上に落として、写真にヒゲをはやすという、どうでもいいマシンを作りました(笑)。
-技術を使っておもしろいものを作る点が一貫していますね。授業でよかったのはどんな点ですか?
良かったのは、shopbot(大型CNCマシン)を初体験できたこと。あのサイズのものを作れることを実感できたのは良かったです。モールド&キャスティングとコンポジット(注:モールド&キャスティングはいわゆる型抜き。型をCNCで削り出し、樹脂などを使って物を作る。複数個同じものを作る場合やきれいな表面を作りたい場合に強い。コンポジットはFRPなど樹脂と繊維をあわせる手法。)もできてよかったです。デジファブというよりかはフィジカルなもの。普通に生きていたらやらないじゃないですか。3Dプリンタとかレーザーとかはやったことがあったけどこれは初めてで。やったことがないことができるのは楽しかったです。それに、製造で使われている技術を、実際に自分が手を動かして実感としてわかるのも良かったです。学びがありましたね。
技術を無駄遣いしたものを作りたい。卒業後も続ける「くだらないもの」作り。
– 卒業した今はなにをやってらっしゃいますか?
今、業務自体はフロントエンドのエンジニアでwebの見た目の部分を作っています。現状、直接仕事でファブに関係することはあまりありません。ただ、社内にデジタル工作機械を揃えたラボがあって、使える人がまだ少ない。 そのサポートはできそうだと思っています。また、VRやデバイスなどを扱う部署が会社にあるので、「将来的には行くのもありかな」という思いもあります。
また、趣味でものは作り続けていて、くだらないものばっかり作っています。アレキサンドロスというバンドがあるのですが、そこのアーティストの写真ははみんなカッコ([])の中に入ってるんですね。それで、物理的に[]を担いで、それを認識すると曲が流れるようなウェアラブルデバイスを作ったりとか。キン肉マンの頭のたてがみみたいな部分だけ3Dプリントで頑張って作ったりとか。WEB上で「tornade」と入力すると扇風機が回るデバイスを作ったりとか。技術を無駄遣いしたものが好きです。
WEB系・電子工作好きの人におすすめしたい。クオリティが一気に上がると思う。
– 受講する前と後で変化した点はありますか?
ファブアカデミーを受けてから作るものの見た目を気にするようになったのが変化した点です。フィニッシング(表面処理)などをちゃんと考えるようになりました。以前はツールを使うこと自体や、とりあえず形になってできたら満足していたのですが、クオリティをあげたいと思うようになりましたね。ガワがおもしろいとそれだけでおもしろかったりするじゃないですか。そういう見た目の部分により意識が向くようになりました。
– 受講をどんな人にオススメしたいか教えてください。
さっき言ったように時間のある学生。それと、クオリティを上げられる、という点と新しいことを学べる、という点で、僕みたいなWEB界隈の人におすすめしたいです。IOTとかそういう方面に興味ある人とか、電子工作でものつくっている人とかいいと個人的にいいと思っています。その界隈の人はクオリティ上がる余地があるとよく感じていて。ファブアカデミー受けたら簡単にクオリティ上がるだろうなと。基板むき出しの状態から、デバイスのいれものを作るだけで全然違うし、基板自体を小さくすることだってできるようになりますから。もっといいものを作れるようになると思います。IoTLT界隈の人は絶対受けたらいいと思います。
WEB界隈の人は新しいことを学ぶのが好きな人が多いと思います。アカデミーは新しいことを学べておもしろいですよ。