【from Saga】FAB12報告:CNCミリングマシンを作る、FAB2.0ワークショップ

こんにちは。FabLab Sagaの陣内です。2016/8/8~14まで7日間、FAB12(第12回FabLab国際会議)が中国の深圳で開催されました。今回のレポートはFAB12についてご報告します。

FAB12のメインテーマは「Fabricating the Future(未来を作る)」ということで、とりわけFAB2.0ということに注目されていました。FAB2.0とは、FabLabの新しい姿を考えるうえで、「物を作る機械を作る」ことができるようになろうということです。これができれば、既存のラボで、3Dプリンタなどの機材を製作し、近隣に新しいラボを低コストで設立できるようになるという構想もプレゼンされていました。

そこで、私も、FAB2.0ワークショップに参加しました。FAB12の期間中に、CNCミリングマシンを作るというものです。会場に行ってみると、他にも、いくつかのチームがあり、ワイヤーカッター(電熱線をコンピュータ制御で動かし、発砲スチロールを複雑な曲面にカットできる機械)を作るチームや、はんだ付けや、3Dプリンタ-で部品製作をサポートするチームもありました。

pic01写真の左下が、CNCミリングマシンのチームです。
リーダーのJensとその友人のJon、そして私(Kaz)の3人が主なメンバーでした。

最初は、すでに準備してあった、CNCのY軸ガイドレールの組立作業です。このレールは、POM(polyoxymethylene)という、ちょっとぬめり感のある合成樹脂素材を、特殊なエンドミルで橋を斜めにカットしてあり、そこに同じPOM素材のX軸を載せる構造です。

xyCNCのY軸、X軸の部品

CNCの制御ソフトは、FabModule という、MITで開発された、汎用制御ソフトで、CNCミリングマシンだけでなく、3Dプリンタなどいろんなデジタル工作機械を、共通のユーザインターフェースで制御するためのソフトです。

pic04FabModuleの画面

モーダドライバのコントローラボードは、Rampsという、3Dプリンタの制御などに使うオープンソースの標準的なボード。最終的な出力時に使うのは、OctPrintという、3DプリンタなどをWEBから操作できるオープンソースソフトです。

いろんな部品がそろい、組立て、外観が見えてくると、いろんな人が入れ替わり立ち代わり見物に来て、手伝ってくれました。

pic05写真右がJon

Z軸もこのように組み立て、スピンドルモーターの代わりに、直接DREMELのハンディルーターを取り付けます。

pic06Z軸を取り付けた状態

pic07写真中央の青いシャツがチームリーダーのJens

routerアルミフレームにハンディルータでネジ穴をあける筆者

完成後、このCNCミリングマシンのためのギアを作成し、「物を作る機械を作る」という目標を達成。

pic10CNCで切り出した自分の部品

今回作ったCNCは、Jensが大まかな設計はしてきたものの、細部はその場で作りながら考えて、組み立てていきました。その即興性が実にFABっぽい。さらに、大勢が入れ替わり立ち代わり、手伝ってくれました。Do It With Otherの体現です。使ってるハード、ソフトもほとんどオープンソースで、後日Jensに連絡すると、BOMや設計図などもGitHubで公開してあると、詳細を送ってくれました。

以下 Jensから送られてきたメールを引用します。

We have made a 4 minute video from the process here:
https://youtu.be/WfuQ8AFX8k4

The home page for all the files and machine development is here:
https://github.com/fellesverkstedet/fabricatable-machines

there you can find the BOM (bill of materials):
https://github.com/fellesverkstedet/fabricatable-machines/blob/master/simple-gantry/bill-of-materials.ods

Design files:
https://github.com/fellesverkstedet/fabricatable-machines/tree/master/machine-builder
(this is the master grasshopper definition for making parametric axes and shopbot code)

3D models of the axis we built in the workshop: https://github.com/fellesverkstedet/fabricatable-machines/tree/master/multi-axis/export

Software you need:

Rhino 3D for windows:
http://www.rhino3d.com/sales/asia/Japan
(educational license is available for Fab Labs)

Grasshopper for Rhino (free):
http://grasshopper3d.com/

Special “bird mouth” milling bit:
https://www.magnate.net/ProductDetails.asp?ProductCode=5461

https://www.amazon.com/Yonico-15138-Birds-Router-2-Inch/dp/B00KZM275E

http://www.infinitytools.co.uk/router-bits/bird-mouth-bit/

FabLab精神にあふれたこのマシンを、是非FabLab Sagaでも再現したいと思っています。

Archives