大網 拓真(FabLab Sendai)
FAN2にて、Jason Wangによって行われたMetal mold & castingワークショップの様子をまとめていきます。
金属鋳造と聞いて、屋外に炉を組みガンガン空気を送り込んで、金属を溶かすのを想像していたのですが、ワークショップのテーブルに用意されていたのは、ガスコンロとステンレスの板。ワークショップを指揮していたJasonはキッチンで可能なメタルキャスティングを目指しているそう。比較的低温で溶ける金属を使うので、この設備でも鋳造が可能とのこと。
コレをMDFにレーザー加工を施して作った型に流し込んでメダルを作ります。木製の型でOKなんだという驚きもありましたが。なんといっても彫刻加工された板にメダルの外形を切り抜いた板を”クリップ”で止めるだけで型ができるというのも面白かったです。
いよいよ金属を溶かしていくのですが、Jasonが取り出したインゴットが猫の足形をしていました。「この形で工場から届くの?」と聞いたら、工場からはもっと大きな固まりで届くのでそれを溶かして自作の型に流し込んで使いやすいサイズに分けているそう。
猫の足インゴットをステンレス製のビーカーに入れ、コンロで熱します。
低温で溶け、鋳造しやすいように2種類の金属を混ぜあわせたというこのインゴット。秘伝のレシピを見せてもらいました。錫42%とビスマス58%を138℃で混ぜあわせたこの金属。鋳造する際に溶かすときも、130 ~ 140℃ぐらいで溶け始めるそうです。
インゴットが全部溶けきったところで、型に流し込んでいきます。ちなみにこのオタマもステンレス製。Jasonは実験を重ねた結果、溶けた金属の表面の色で流し込むのに適した頃合いを判断できるようになったそう、「黄色い表面は温度が高過ぎる、青色ならもっと高すぎる、表面をきれいな銀色に保つのが上手く流しこむコツ」とは彼のアドバイス。
メダルが固まるのを待つ間、Jasonがロストワックス製法で作ったターミネータの頭を見せてくれました。同じ金属で作られているのですが、細部までキチンと作りこまれていてすごかったです。
そして出来上がったメダルです。
ディテールまでキチンと出ていて美しい!高温に耐えうる素材ではないですが、金属をここまで手軽に扱えるのは意外でした。
初日に濃い内容のワークショップに参加できたのは嬉しかったです。