倉本義介(多摩ファブスペース研究会世話人/ファブラボ浜松会員)
1年半程前、2013年末に田中浩也さんの「FabLife」を読んだことで、残りの人生をファブにかけることにしました。自分の障害ニーズに合った「ハンドル形電動車いす」が日本では入手できず、近いものがあっても欧米の3倍近い価格。FAB10に触発されたこともあり自分で作ることに。欧米で販売されている「ハンドル形電動車いす」のほとんどが台湾か中国製でした。台湾なら部品が手に入るだろうとFabLab TaipeiのTedさんにメーカーを教えていただき、おかげさまでもうじき完成。そんな折、FAN2の朝の全体会「Lab Review」で、「Making of My Fability Scooter」のプレゼンを行いました。以下はその簡単な報告と感想です。
出発前、ファブラボ大分の会津さんから「どこかでプレゼンできるように、準備だけはしておいては」と言われてはいたものの、スクーターの仮組み立てが終わったのは22日。私のプレゼンができることになったのはFAN2の1日目、5月26日午後で、急遽発表が決まりました。
台北到着後、暇を見てはパワーポイントに写真を仕込み、日本語のコメントを書き終えたのは26日の夜中。それから会津さんに送って英文翻訳とプレゼン用に体裁を整えてもらいました。発表直前まで訂正を入れたりしていたので、プレゼンはリハーサル無しのぶっつけ本番。私が日本語でしゃべり、会津さんに通訳してもらいました。
プレゼンの内容
Making fablity-scooter0526 by Yoshisuke Kuramoto from Izumi Aizu
- バルセロナのFAB10での“Open Source Fab City Car Project”で、木製のクルマの写真を見たのがきっかけで作ろうと思い立ち、Illustratorで図面を描き、123Dでモデリングをした。
- デファレンシャルユニットやタイヤ、コントローラなどの主要部品は日本では入手できず、Tedさんに紹介してもらったHong Yinn社で揃えてもらった。
- ハンドル回りやシート、電機配線などの部品を揃えるために台湾製スクーターをネットオークションで入手した。
- デファレンシャルユニットを取り付けるマウントや前輪用のフロントフォークなどの金属部品は鉄板や鉄パイプを自分で加工してファブラボ浜松で溶接してもらった。
- ボディーなどの合板部品は田中先生のSFCスーパーファブラボにあるShopBotで切り出していただいた。
- 各部を調整しながら組み立てたこと、最も活用した工具が金鋸とヤスリだった。
- 最後に前日 Mr. Mao 台湾政府・毛治国首相にお目にかかったときの写真と名刺で謝辞、谢谢。
プレゼンで言い忘れたこと
1.完成したらオープンソースで公開するということ
2.設計に当たって特に考慮したポイント:コンパクト、コンフォタブル、コスト。そして、自分の車に自分一人で積み込むことができること
- 狭いエレベーターにも入るコンパクトサイズ:長さ1,100×幅600mm、3輪タイプ
- 乗り心地重視:フロントタイヤは空気入りと同じ反発係数の国産9インチ・ゼロプレッシャータイヤ、リアは10インチ空気入りタイア。
- 軽さとコストを考えてバッテリーは台湾製高性能電動車用22AHシールド型×2。
- 分割して車に積み込めるように、ボディー、リアアクスルユニット、シート、バッテリーに容易に分割、組み立てができる構造。
こういう場所でプレゼンするのは初めてだったこともあり、言いたいことをちゃんと話せなかったり、言い忘れたこともたくさんありましたが、FabLab間での情報交換、設備の共有など、FabLabの協力で障害者が自らの手で自分用の電動車いす(Fability Scooter)を作ることができるということが少しでもアジアのFabLab関係者に伝わればと期待しています。
ファブラボ台北テッドさん、Hong Yinn社ニックさん、SFCスーパーファブラボ田中浩也先生、ファブラボ浜松竹村さん、 ファブラボ関内の皆さん そして、FJN!、ご協力くださったすべての皆さんに感謝。そして最大の感謝は私のプレゼンのサポートをしてくださった会津さん、多謝・深謝・感謝。