「ファブラボ」商標権の取得と名称の使用について

ファブラボの本質は、地域に根付いた工房のグローバル世界規模)なネットワークです。また、「ファブラボ」という用語は、単に「施設の名称」としてだけでなく、共通の思想に基づいた「プロジェクトの名称」としても用いられています。

そのため、「ファブラボ」という名称は、デジタルファブリケーション機器を備えた工房全般を漠然と指す一般名詞ではなく、次の条件を満たした場合にのみ用いることができる固有名詞である、と国際メンバー間で合意されています。

この「定義」や「条件」は、毎年1回開催される「世界ファブラボ会議」で内容が議論されており、そこではファブラボの国際ネットワークに参加している人自身が、ファブラボの方向性や定義修正について意見することが認められています。その議論によって、条件は状況に合わせて修正・変更されることがあります。

「ファブラボ」と名乗るための許諾を与える特定の認定機構は世界のどこにもありません。しかし、この「定義」「条件」に記述された趣旨を理解し、同じ方向性を共有していることを確認したうえで、当事者自らがそれを宣言するという方法によって、ファブラボは過去約10年に渡って数を増やし、持続的に発展してきました。

しかし、近年になって急速にファブラボの社会的認知度が高まったため、私たちは次のようなリスクに直面することとなりました。

それは、もしある企業が「ファブラボ」という商標権を取得し独占したら、それ以降は、仮に上記の条件を正しく満たしていたとしても、「ファブラボ」と名乗って新たに活動を立ち上げることができなくなってしまうというリスクです。

そのリスクに対応する防御手段について、2013年1月4日のFab Lab Japan Network 会議において国内の各ファブラボの運営者で議論を行いました。その結果、私(田中浩也)が、日本に「ファブラボ」の活動を広めた責任を最も負っているとの了解のもと、その責任を正しく果たすために、個人として商標を取得することを意志表明し、了承されました。

しかしこれはまた同時に、これから新しくファブラボを立ち上げようとする場合に、上記の条件が正しく満たされていれば、その活動を一切妨げないような新たな仕組みをつくることをも意味していました。

すなわち私の意図は、ルールに基づいた「ファブラボ」という固有名詞の健全な使用を維持することであって、けっして独占することではありません。

そこで、FabLab Japan Network内の弁護士などによる有志グループFab Commons(ファブコモンズ)が提案する「オープン・トレードマーク・ライセンス (OTL)」というライセンス形式を用いて、「ファブラボ」という商標を守りつつ、条件付きで一部開放することにしました。

「ファブラボ」商標(商標登録第5644353号、第5644354号)の権利者である私(田中浩也)は、国際的に合意された「ファブラボとは何か」「ファブラボという名称を使う条件」を正しく満たしている限りにおいては、「ファブラボ」という名称を使用して私以外が行うすべての活動(新たな活動、既存の活動を含む)に対して、訴訟等を起こす意志が無いことをここに宣言します。

その法的根拠である「オープン・トレードマーク・ライセンス(OTL)」のリンクはこちらです。

「オープン・トレードマーク・ライセンス(OTL)」は世界に先駆けた試みであり、今回取得した「ファブラボ」商標は、OTLの初の活用例となります。今後新たに「ファブラボ」を立ち上げ、活動を行う場合には、この知的財産権に関する新しい実験にもご参加いただいていることを、ご理解いただければと思います。

最後になりますが、冒頭に述べたように、「ファブラボ」プロジェクトの本質は、地球規模の工房のネットワーキング活動です。ファブラボという名称を使用して工房を開設しようとしている方、また開設されている方は、年1回開催される「世界ファブラボ会議」への参加を是非ご検討ください。

上述のとおり、「ファブラボ」と名乗るための許諾を与える特定の認定機構は世界のどこにもありません。しかし敢えていえば、世界ファブラボ会議で「ラボ紹介」を行ったあとに、会場から自然に生まれる「拍手」や「笑顔」が、最終的な認定(=コミュニティへの歓迎)のしるしとなる、という慣習が生まれています。この「ラボ紹介」は、過去からファブラボを立ち上げて活動してきた世界の人々への「挨拶」の意味を持っています。この良質な慣習がこれからも正しく継続されていくことを、見届けていきたいと思います。

2014年3月31日

  • FabLab Japan Network  (国際連携担当) 田中浩也
  • FabLab Japan Network  (国内連携担当) 黒沢健二
  • FabLab Japan Network  (ウェブ担当) 巾嶋良幸 高尾俊介
  • FabLab Kamakura 渡辺ゆうか 加藤未央 駒野美智
  • FabLab Tsukuba すすたわり
  • FabLab Shibuya 梅澤陽明 井上恵介 山本詠美 久保田晃弘
  • FabLab Kitakagaya 津田和俊 松田万緒
  • FabLab Sendai 渡辺圭介
  • FabLab Kannai 門田和雄
  • FabLab Oita 会津泉
  • Fab Commons 川本大功 菊地開司 水野 祐