ファブラボ太宰府の中澤です。
昨年末あたりから大きな社内の異動などがあり、運営体制がマイナーチェンジしております。が、あいかわらずファブラボ太宰府は太宰府らしくすごしています。
大きな話題といえば、これまで常連だった主婦の方が2名アルバイトになったので、木工作業などに疲れた頃にお茶を入れてくれる素敵な環境になりました。
今日は最近頑張ったプロジェクトの紹介をします。
【福岡県那珂川町「イスを創ろうコンテスト」@博多南駅「ナカイチ」】
博多南駅は、博多南線という駅で、博多駅と博多南駅を新幹線でつないでいる不思議な駅です。300円で新幹線に乗れると一部有名らしいです。(乗車時間10分くらい)
そこの駅ビルの改修工事が行われ、その一環で「家具もみんなでつくろう!」と始まり、実施されたコンテストが「イスを創ろうコンテスト」でした。
ファブラボ太宰府は私中澤が審査員と、審査通過者に向け、制作までの道のりのサポートをさせていただきました。
審査通過した子供達には、ただ書いたイラストを形になるような体験ではなく、1/1サイズができるまでの試行錯誤を一緒に体験していただきたいと思い、中間のワークショップの中身をつくらせていただきました。
<製作までのスケジュール>
【12月23日(土)デザインワークショップ@ファブラボ太宰府】
実際に加工に使う大型ミリングマシンの見学を行いました。そのあとは厚紙とハサミをつかったミニチュアでのプロトタイピング、さらにそれを元にレーザーカッターで木でのミニチュア作成まで行い、どのような構造で実現可能なイスができるのかを実践的に考えてもらいました。平面的な木材を使用するので紙でのプロトタイピングはぴったりでした。
【1月〜2月末 <実寸サイズ製作期間@ファブラボ太宰府>】
5種類のイスを強度を検討しながら図面に起こしていただいたものを、ミニチュア模型をつくりながら修正点を確認。最終的に1/1スケールの製作を行いました。やすりがけが大変でしたね。。できればもう少し一緒に作ってもらいたかったフェーズではあります。
【2月24日(土) 組み立て塗装ワークショップ@博多南駅】
できた部材を組み立て・塗装を行って頂きました。組み立ては、あえて図面と部材のみを渡し、どう組み立てると完成するか自分で考えながら組み立ててもらいました。
はめ合いだけでは公共の家具として心もとなかったため、金具やネジで補強をいれました。ネジは目立たないように「ダボ加工」を教えたのですがみんな楽しそうにやっていてよかったです。
こちらが実際にこどもたちが応募し、デザインを検討しなおし、形にしたものです。
左から①・②・③
①「美しいかわせみ」
那珂川町の鳥である「かわせみ」をもっとみんなに知ってもらいたいと作った作品。背面や色合いは山や川といった自然をイメージしていて、町の入り口にふさわしいイスになりました。
②「つつまれるイス」
やわらかいイスに座りたい!という思いがつまったイスでした。柔らかい風合いは残念ながらだせなかったのですが、「猿」をテーマにした大きなイスができました。王様のような気分になれます。後ろに尻尾がついていてかわいいです。
③「読書タイム」
読書をしたいということで、本がたくさん収納できるイスをデザイン。叶えることはできなかったけど、レバーがついていてそれを引くと「しおりをだしてくれる」なんてギミックを考えていたり、応募の段階で椅子への想いが一番あふれてました。
④「つみきちゃんとつみきくん」
④「つみきちゃんとつみきくん」
2人で座れるイスがテーマ。2人ということで割り切れる偶数の数字をイスの脚にしています。
⑤「クローバー椅子」
⑤「クローバー椅子」
四つ葉のクローバーを全面に出ているように、「座るとみんな幸せ」がコンセプト。色合いも四つ葉のクローバーのイメージを壊さず、ただシンプルになりすぎないように5パターンの緑をつくって丁寧に色分けしており、とても素敵なイスにしあがりました。
この椅子の足は、3DCADをつかって3Dデータからワッフル構造にするツールで作っています。
Shopbotを活用したプロジェクトはいくつか行ってきましたが、大型スケールでこどもたちのデザインを形にするというのは初めての経験でした。
実際に形にするときには、壊れない形になっているのか、見た目の色合いはどうか、座り心地はどうか、を考えなければならないので、大人たちもドキドキの工程となりました。
今回のワークショップでは、特にそういったところを中心に子供達と一緒に考えられるよう設計させていただき、子供達もなかなかない経験をできたのではないかと思っております。
福岡に来られる際は、短い新幹線の旅がてら博多南駅の新しいビル「ナカイチ」でみんなのオリジナルのイスに座ってみてください!