明けましておめでとうございます。FabLab Bohol (フィリピン)で活動している青年海外協力隊員*1の高木です。今回は、前回紹介させていただいた「i2i :共創のワークショップ」の進捗報告と1月下旬に開催するリサイクルプラスチックワークショップについての紹介をさせていただきます。
*1青年海外協力隊員 日本政府のODA(政府開発援助)の一環として、 現地の人々と共に働き、彼らと同じ言葉で話し、相互理解を図りながら、彼らの自助努力を促進するように活動する草の根レベルのボランティア 。
i2i :共創のワークショップ
いよいよ1月4日から8日まで、日本とフィリピンが共同で開催する「i2i :共創のワークショップ」の第三弾となるコ・クリエイションステージがフィリピン・ボホール州で開催されます。このステージでは、日本人クリエイターが、実働するプロトタイプをフィリピン・ボホール州に持参し、現地クリエイターと共に現地でのフィールドテスト・ユーザテストなどを行います。最終日の8日には、フィリピン・ボホール州側のi2i実行委員の現地政府がホテルのイベント会場を借り切り、そこで参加者はスタートアップを前提としてフィリピン国内の投資家やボホール州知事などに向けて、完成したプロダクトとビジネスアイデアのプレゼンテーションを行うことになっています。
ブートキャンプステージで、Fablab Boholにてフィリピン側の運営スタッフが参加者に講義を行う様子。
昨年10月に開催された第一弾のブートキャンプステージは、コンペディション型式で行われ、総勢34チーム (190名) の中から10チーム (42名 )が選ばれました。選ばれた10チームは、自分達の生活環境が抱える問題に対して丁寧に観察を行い、各自の専門領域に基づいた技術を用いて、新しい解決方法を提案していました。
その後、11月に開催された第二弾となるプロトタイプステージでは、上記10チームはFablab Boholでデジタル工作機器の使い方やプログラミングの知識をワークショップを通して学び、日本側の担当チームと連絡をとりながら、プロトタイプの制作を進めました。
University of BoholのインストラクターによるチームBantay Palay (Grains Saver)
廃材を利用した、稲田を荒らす地元の鳥 (Maya) を音で追い払う機器の提案。
また今回開催されるコ・クリエイションステージの優秀作品は、インドで開催される第3回ファブラボアジア会議にて、プレゼンテーション・展示を行う予定になっています。Facebookページ(www.facebook.com/contextualizedinnovation、もしくは「i to i」で検索)にて、i2iワークショップの情報を随時発信しています。ご質問等ありましたら、Facebookページからメッセージをお送りいただければ対応させていただきます。
ヒート/クールプレス機によるリサイクルプラスチックプロジェクト
これまでFablab Boholでは、フィリピン・ボホール州のタグビララン市と共同で市民の収入向上を目的としたプロジェクトの一環として、レジ袋や包装用に使用され、廃棄されたプラスチックから安価な板状のプラスチック素材を生産するための機器(ヒート/クールプレス機)の開発に取り組んできました。
昨年末にようやく設計が完了し、組み立て用の資材の発注を終え、1月末からプラスチック素材の生産に携わる市民グループへのワークショップが始まります。
このワークショップは、以下のように進めます。
- ヒート/クールプレス機の作り方を学ぶワークショップ:
市民達が自らの手で、Fablabのデジタル工作機器を使いながら、ヒート/クールプレス機を制作します。
- プラスチック素材や、それを使った簡単なプロダクトの作り方を学ぶワークショップ:
上記で制作したヒート/クールプレス機を使って、住民達がプラスチック素材の作り方を学びます。
そこでできたプラスチック素材をレーザーカッター等のデジタル工作機器を使って加工し、箱や写真立て等の簡単に作ることができるプロダクトを制作し、ヒート/クールプレス機への理解を深めます。ワークショップ後は、プラスチック素材・製品の販売を目的として、市民グループが各町村ごとにプラスチックの生産と加工を行います。
ヒートプレス機で制作したプラスチックプレート。
組み合わせる廃棄プラスチックの色と分量によって様々な表情を演出する。
ヒートプレス機の実験データを集める現地スタッフ。
ヒートプレス機の最終設計図。慶応義塾大学の協力を得て、力の弱い人でも操作ができるようになった。
フィリピンでは、今年からさらに8箇所の新しいFablabがオープンし、国内合計11箇所になる予定です。Fablab Boholは、新しく生まれるフィリピン国内のFablabを牽引しながら、フィリピンの抱える貧困問題を解決するための一助となれるよう邁進していきます。