こんにちは、FabLab Fujisawa / FabLab Shibuyaの井上です。前回のFabLab Shibuyaの投稿でも触れたのでそんな気がしないのですが、FabLab Fujisawaとしてのレポートは実は今回が初めてになります。
FabLab Fujisawaは、湘南T-SITEという複合商業施設内に「曜日限定」で運営しているFabLabです。毎週水曜日を“Fab Wednesday”と銘打って終日FabLabとして運営し、それ以外の曜日は「湘南ラウンジ -Fab Space-」として“作る楽しさ”を多くの人に体験してもらえる場所として運営しています。複合商業施設内のFabLabは世界的に見ても珍しいのではないかと思います。
5月の正式スタートから早いもので約半年、少しずつユーザーさんも増えてきました。とてもギークでユニーク(褒めてます)なユーザーさんが多く、中には同じ施設内にある「Ferment」さんとの間を行き来するユーザーさんもいらっしゃいます。今回はそんなユーザーさんたちの作品を一部紹介したいと思います。
6重のメッシュ球(作者:KISEさん)
ユーザーのKISEさんは、ご自身の3Dプリンターを徹底的に調整して、FDMタイプでは見た事もない様な作品をたくさん作られています。上の写真の球体は、出力の途中で一旦プリンターを止めて、先に出しておいた球体を中に入れてから出力を再開する、この工程を6回繰り返して作られています。直径5cmほどの球体の中にカラフルな球が入れ子になっており、内側の2つは肉眼で見る事もできません。
特殊フィラメントのサンプル(作者:KISEさん・素材提供:オダキさん)
こちらも同じくKISEさんによる作品です。3Dプリンターはハードだけでなく、どんどん新しい素材がリリースされています。「いろいろ試してみたい!」ということで様々なフィラメントを取り寄せたユーザーのオダキさんがこれらのフィラメントをお持ちになり、それを見たKISEさんのチャレンジャースピリットに火がついてこれらのサンプルが出来上がりました。プリマロイやNinjaFlex、銅といった出力が難しいと評判(?)のフィラメントも、しっかり形が出ています。
先ほどのメッシュ球もこのサンプルもFabLab Fujisawaに置いてもらっているので、是非見に来てください。
レーザー版画(作者:増田さん)
毎週の様に通われている増田さんは、写真からおこしたデータで木版を作り、版画制作をしています。同じ写真から濃淡を調整して複数の版を作るなど、デジタルファブリケーションの強みを活かした新しい版画作りに挑戦されています。下の写真は実際に試し刷りした版画です。
試し刷りした版画
パリの街並みを印刷したお皿(作者:丸山さん)
ガラスのお皿の底面にパリの街並みの絵をUVプリントされています。全部で5枚の連作となっており、時代の移り変わりによって街並みの変化を楽しめる絵皿になっています。こちらの作品は湘南T-SITEで開催されたフランスフェアでも展示されました。
CNC原点出し用治具とチタン加工サンプル表(作者:飯田さん)
ご自宅に旋盤やフライス盤を置いているというヘビーでメタルな飯田さんの作で、FabLab Fujisawaにご提供いただいた作品です。左は3Dプリンターで出力した筐体にマイクロメーターの計測部分を取り付けた特殊な計測治具で、0.01mmピッチで高さを見ることができます。右はチタンのプレートにパラメータを変えてレーザー彫刻した加工サンプルで、パラメーターごとに色が異なるのが見てとれます。
ごく一部ですが、毎週水曜日にはこんなユーザーさんが集まってきます。もともと工場などが多い地域のせいか、高いテクニックを持ったユーザーさんが多い一方で、都心から少し離れて落ち着いたライフスタイルを楽しむ方も多く、それぞれのベクトルで強い「こだわり」をもつ方が多いです。こうしたユーザーさんのものづくりをサポートしていく一方で、ユーザーさん同士の連携を促す様な取り組みを今後の課題として進めていきたいと思います。
また先日、FabLab Fujisawaのユーザーさんが自身の作品を投稿・紹介できる仕組みを作りました。こちらにも少しずつ作例が溜まっていくと思うのでお楽しみに!