陣内和宏(FabLab Saga)
FAN2の朝は、各国のファブラボによるプレゼンテーション「Lab Review」で始まります。以下に初日の様子をご紹介します。
1. FabLab Taipei by Ted Hung
最初のLab Reviewは、FAN2のホストの中心であるTAIPEI。コンセプトは、陰陽マークとしてもおなじみのこのマーク。Bits⇔ATOMS、VIRTUAL⇔PHISICALを対立的にとらえるのではなく、融合してとらえるのだというお話をされていました。
そして、TAIPEIの作品の写真が続きます。FabCafeにもたくさん置いてあった、このLED Cube。アクリル板などをカットして組み合わせたオブジェ。そして、モアイ像風のスピーカー。実に様々なプロジェクトがあります。TaiwanをリードするFabLabです。
2. FabLab Bohol (Philippines) by Angeline Baldapan
続いてフィリピンのFabLab Bohol。Boholの概要と、2014年のグッドデザイン賞受賞の紹介から、プラスチックアップサイクルプロジェクトの話題。オリジナルのヒートプレスマシンで、廃プラスチックを新しい素材に還元する。色とりどりでカラフルなのが、ポップで、廃素材のマイナスイメージを払しょくしてる気がします。こうして作られた、プラスチックパイプを、サンゴの保護に役立ているとのこと。プラスチックの他にも、木材、葉、ガラスのアップサイクルに取り組んでいる。
話はアップサイクルプロジェクトからファブシティへ。アップサイクルしたマテリアルの質が向上し、加工しやすくなれば、街はきれいになり、ものづくりから仕事が生まれ、ビジネスになっていくだろうと。最後にSTEM教育の話。生徒自身の手でものづくりし、地域の問題解決に取り組み、スキルを身に着け、クリエイティブ人材が増えることを期待している。
これらの戦略的な取り組みは、きっと成功してファブ社会の良い事例となることでしょう。Boholの今後は要チェックです。
3. Miriam College FabLab (Philippines)
次は、同じくフィリピンのMiriam CollegeのFabLab設立計画。小学校から大学生まで、すべての学生に向けたファブスペースを作り、プロトタイプから、商業レベルの製品まで作れるようにしたいと。
さらには、STEMを超えてDREAM(Desgin, Robptics, Engineering, Arts, Math)まで行きたいと。
子供達が、創造力を自由に広げ、夢をつかめる、そんな教育が実現できると素晴らしいです。
4. FabLab Japan Network by Hiroya Tanaka
さて、次は我らが田中先生の出番。いきなり、Tsukubaのすすさんと共同開発のパーソナルチップマウンタの話で飛ばします。FabLabの数は1年でほぼ倍に増えるという法則にも触れてました。
そしてFabLife中国版の出版について。最後に、また太極図登場。Tedの話にも出てきましたが、対立でなく、融合としてとらえるのは東洋ならではという考察。
5. FabLab Kamakura by Youka Watanabe
ゆうかさん登場。Tsukubaと並び日本初のFabLabの活動は多岐にわたり、個人から地域社会まで巻き込んでいる。世界で最も有名になったスリッパ、旅するクルスカさんの話や、JAXAとのプロジェクト。ロケットのフェアリングで作ったロボットの話など。最後は告知。12月のFab Lerning Conference ASIA開催について。Kamakuraは次のステージへステップアップします。
Fabbercize
ここで休憩。Fabbercize。(Fabbersizeとはファブ+エクササイズの造語で、FabLabのカンファレンスの息抜きとして恒例になっているちょっとした運動のことです。毎回趣向をこらしたオリジナリティのある体操が生まれています。)
初体験でどんなものかどきどきしながら、リーダーを迎えます。このあと、アイアンマン、スパイダーマン、ゴジラのどの振り付けで、爆笑のオリジナル体操が展開されます。自分も踊ってたので、写真はありませんwww
6. FabLab DonGuan (China)
休憩の後は、DongGuangの準備中のFabLab。DongGuanの経済成長は著しい。でも欠けてるものがある、それは、イノベーションと、独自製品、知財。それらを得るために、FabLabを始めるんだということ。スポンサーもつくそうで、開設されたら、大きく飛躍しそうです。
7. FabLab Shanghai (China)
上海からは、建築系プロジェクトの紹介。それから上海のファブスペースマップ。
Maker Movement in Asia by Masakazu Takasu
チームラボでシンガポール在住のネコミミ高須さんが、飛び入りプレゼン。Maker Movement in Asiaと題して、むちゃくちゃホットなプレゼンをしてくれました。スライドはSlideShareで公開されてます。(Maker movement in Asia)
今まで中国製品はまねばかりといわれてきたけど、その認識を改める時期に来ていると。まねを超えて独自製品を出し始めてきた、侮れなくなっているぞという警鐘。それからシンガポールのイノベーションへの取り組みについて。
Topic Talk
“How to change the world through innovation” by Benson Yeh
National Taiwan Universityの先生。Wharton-QS Awards 2014という賞をとった先生らしい。テーマは、インターネット時代の生徒を如何に動機づけるかということ。強制はもはや訳に立たない。生徒の関心事を利用すべき。それには、「競争」、「同級生に成果を知ってもらうこと」、「賢いルール」が要素となる。たとえば、こんな風に宿題の提出状況をみんなが見れるようにすること。
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Lab Reviewでは、各地のラボが、教育、起業・イノベーション、地域振興、個人的な楽しみ、実に様々な目的で、 運営されている様子が良く分かりました。そしてファブラボは実際にそれらに貢献していけるのだと いうことを強く実感しました。