【from Kamakura】朝ファブとFUJIMOCK FES

このたび、FabLab Japan Networkに参加する各地のファブラボから近況をレポートしてもらう、リレー記事企画をスタートします!これからおよそ週1回のペースで更新していく予定です。まずは、日本最古のファブラボのひとつ、「ファブラボ鎌倉」からのレポートです。


01_FABLIFE

FABLIFE

ファブラボ鎌倉のゆうかです。時が経つのは早いもので、2011年5月に立ち上げてから、今年で4年もたっているなんて、なんだか不思議な気分です。ファブラボ鎌倉では設立当初から一貫して、ファブラボをプラットフォームとした新しい学習のあり方を日々模索しています。つくる人を増やすために、どのような学習環境が好ましいのか。その場にいるだけで、それはもう楽しくて、楽しくて、夢中になってつくっているうちに、結果的にいろいろ身につけて学んでしまっている。そんな学び方や学び場は、どんな要素でできているのか、といったことを考えながら日々活動しています。

まだまだ発展途上中ですが、活動を通じてそうした場のあり方を少しずつ実感できるようになってきました。たくさんご紹介した活動事例はありますが、今回は、1年以上続けている2つのプロジェクトについてご紹介させていただきます。

朝ファブ

100回通い見えてくる世界とは?

朝ファブ掃除風景

朝ファブ掃除風景

2013年から開始した、ファブラボ鎌倉の名物オープンラボである「朝ファブ」は、その名の通り朝の作業を意味します。やっていることはとてもシンプルです。毎週月曜日(祝日はのぞく)午前9時に集まり、ラボを掃除して、10-12時の間に機材を共有しながらそれぞれモノをつくり、進捗を発表して帰る。その繰り返しです。毎週、隔週、不定期、通い方は人それぞれですが、「FABの時間」が着々とライフスタイル化しつつある人が、増えています。

こうしたオープンラボを行っている大きな理由としては、人の行動がどのように変わっていくのかを知りたいためです。人はいくつになっても、習慣を変えることで変わることができる、と意外と本気で信じています。定期的にファブラボに通い続けることで、意識しないうちに前よりも人生が楽しくなった、もっとつくれるようになるために新しいことに挑戦したいと思えるようになったよ、という人が少しでも増えたら面白い世の中になると思いませんか。

朝ファブレポート

朝ファブレポート

できる限り、この朝ファブの変化を読み取れるよう、定点観測のように毎週レポートの更新を心がけています。もう少しで50回目を迎えます。第1回目からの変遷は、活動Blogでご覧頂けます。1-10回で見えてくる世界、30-40回続けることで見えてくる世界はやはり違います。

朝ファブには、10代から70代まで幅広い年齢層の方々が集っています。どの年代も10回あたりを過ぎると、参加者の役割や意識も変容しはじめていきます。雑巾を持ってきてくれたり、はじめての方に丁寧にファブラボの説明をしてくださったりと、ほぼほぼスタッフ状態です。それぞれ、好きなことをやって、同じ時間を共有している。そんな気軽で不思議な距離感だから、続けることができるのかもしれません。昨年と違う点を上げるとしたら、ファブラボはグローバルネットワークだからという理由で、今年はじめから最後の発表を全面英語に切り替えています。みなさん、案外すんなり受け入れてくれているので驚いています。FABもそうですが、語学も継続と練習あるのみ。100回目を迎える頃には、今とはひと味違う景色が広がっていのかなと、期待しています。そこの領域に辿り着く為にも、引き続き日々の出来事を丁寧に記録していきますね。

FUJIMOCK FES

3年目を迎えて、さらにパワーアップ!

FUJIMOCK FES

FUJIMOCK FES

2012年から「FABで森を元気に」をモットーに、FUJIMOCK FES(フジモックフェス)という壮大なコンセプトを掲げた取組みを毎年開催しています。具体的には、富士山麓の間伐材を使って、デジタル工作機器を用いてモックアップ(試作)をつくります。実際に間伐を行い、乾燥、製材、プロトタイプ制作をしていく約5ヵ月のプログラムです。毎年、肝いりの面白い人材に出逢えるのも特徴のひとつです。初年度の参加者に、今やファブラボ鎌倉には欠かせない存在のcomaちゃん。次年度は、現在朝ファブマスターをしている今西さん。今西さんは、木工の世界にハマってしまい、オリジナル木工加工法を開発し、起業までされています。その勢いは留まることを知らず、ご自身で製材できる木工工場までつくってしまいました。さらに、昨年の参加者には、本格的に木こりの世界を目指す方も現れています。 意外とすごいぞ、フジモック! 3年目を迎え、今年は一体どんな科学反応が起こるか楽しみです。

富士山セッションの様子

富士山セッションの様子

3回目のフジモックフェスは、富士山セッションを日帰りから1泊2日の合宿に変更しました。昨年までの慌ただしかった日帰りプログラムが、宿泊により濃厚で有意義な時間に劇的に変わりました。(しかも温泉付き) この変更は大きな収穫でした。さらに、今年はファブラボ北加賀屋の白石さんからファブ
ラボ枠の提案があり、早速参加者を応募したところ、ファブラボ仙台、ファブラボ北加賀屋、ファブラボ浜松、ファブラボ関内の方々が富士山セッションに参加してくれました。加工は、各ラボで行いますが、発表は遠隔で行います。鎌倉と静岡の2拠点の取組みが、一気に全国に広がるフレームができました。各ラボのみなさん、ありがとうございます!

鎌倉セッションFusion360講習会の様子

鎌倉セッションFusion360講習会の様子

富士山セッション:間伐体験 / 温泉 / チェーンソー製材 / ホールアース自然学校に1泊

鎌倉セッション:3Dモデリング講習会 / デジタル加工 / 製材 / 発表会 / パーティー

乾燥期間を経て実施している鎌倉セッションでは、初日にFusion360を用いた3Dモデリング講座を行うことで、参加者の創作の幅を拡げるサポートプログラムを実施しました。2日目は、今西さん自慢の木工工場に加工場所を移し、製材/加工セッションを行いました。これまでの参加者がいつの間にか、どんどん主催者側に移行している。ゲストもホストもない関係が、時間とともに構築されていて、いい感じです。参加者は、モデリング技術を習得し、デジタル工作機械も使いつつ、大型機械で加工したり、仕上げは手作業だったりと適宜アナログとデジタルを使い分けた制作をしています。普段パソコンに向かって作業している方が多いせいか、木屑で真っ白になっても気にせず、無心で作業をしている姿があちこちで見られました。「家じゃ、やらないなぁ」みなさん口々に言いつつ、いつも多くの方が時間を延長して作業していました。

回路基板を埋め込むため、丸太をSRM-20で切削している様子

回路基板を埋め込むため、丸太をSRM-20で切削している様子

今年の発表会が、3月28日(土)に行われます。一体、どんな作品に出逢えるのか、想像するだけでも楽しみです。こちらもレポートしていきますね。

 

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