4月21日―東京工業大学附属科学技術高等学校

ものづくり施設のネットワーク化に向けて少しずつ動きだしています。田中先生と一緒に、東京工業大学附属科学技術高等学校に行ってきました。こちらで教鞭を取っていらっしゃる門田先生に校内を案内してもらう。工作室に入ると、整然と並ぶさまざなな工作機械、天井も高く広々とした空間、整理整頓された独特の緊張感に思わず背筋もピンとなる。こうした緊張感がないと怪我をしますから大切です。こちらの学校では、ロボットなどの機械システム、コンピューターサイエンス、建築といった立体造形などのコースがあり、カリキュラムの中に、設計、機械製図はもちろん、自分たちでパーツをつくり出す技術演習も授業に組み込まれているという。工作室でたまたま作業をしていた3年生のIくんに「何を作っているのですか?」と質問したところ、

「自動車のタイヤの衝撃を吸収するサスペンションです」

という答えが返ってきた。目の前にいるのが「高校生」だとはとても思えない衝撃が走る。Iくんが簡単そうにしている作業も、「これがまた、難しいんですよ」と門田先生のコメントが入る。ここにいる高校生は、自分たちでつくりながら考えるということを身体で実感している。自動車やロボットを平気で作ってしまうのです。さりげなく廊下に貼ってある研究もとても興味深いものばかり。MITで修行してきた田中先生も、彼らのものづくりレベルに感動していました。美大や理工学系の大学とは、ひと味もふた味も違う「ものづくり」に対する技術や意識に触れる事ができました。ここまで能力のある高校生を前にして、思う事、感じる事多々あり。クリエイター、美大生、大学生にとっても、こうした世界を知るだけでもおおきな刺激になるハズです。お互いの領域を尊重しながらゆるやかに入り交じり、これまでとは違ったネットワークから生み出される新たなものづくり環境をつくれたら、本当に何かが変わってくると思っています。(youka)

 

「ファブラボ・ベータ」とは、学校内に設立された准ファブラボや、ファブラボの活動を支援する研究室に対する呼称です。2010年から活動していた多摩美術大学ハッカースペース(久保田晃弘・三上晴子研究室)、慶應義塾大学田中浩也研究室に加え、東京工業大学附属科学技術高等学校・門田ロボテクが3か所目の「ファブラボ・ベータ」になりました。

(私見ですが)多摩美がアートやハック、慶應がソーシャルやアルゴリズムに関心をもつ学生が集まってくるのに対して、門田ロボテクはハードなエンジニアリングです。油を射し、旋盤を回し、表面を磨くという作業。しかし、MITに一番近いのはこうした泥臭い体育会の匂いで、ロボットから自動車までつくることだったりします。やっぱり大きくてカタイものを作らないと。「剛」ですね。

ファブラボそしてファブラボベータは、お互いにお互いを行き来できるような関係を目指しています。「つくる(FAB)」という1点において協働し、アーティスト、デザイナ、エンジニア、ソーシャル系それぞれが、それぞれのスキルと感性を共に学び合えるのがFabLabのいいところです(tanaka)。

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