この頃、日本から来られた方々をボストン・MITメディアラボ1階にあるファブラボにご案内する機会が多くなりました。3次元プリンタやカッティングマシンといったさまざまな工作機が取り揃えられています。しかし正確に言うと、大学の研究所にあるこの工作室は「ファブラボ」ではなく、実際に、教員も学生も誰もそう呼んでいません(施設マップには「デジタルファブリケーションルーム」と書かれています)。もっぱら学生が課題をこなしたり研究をしたりするために使われているのですが、やはり趣旨が若干違うのだと思います。「ファブラボ」は、やはり、大学の「外」、街のなかにあって市民にオープンな場所や活動に与えられた呼称なのでしょう。
ボストンには、世界初のファブ・ラボがあります。
「サウスエンド・テクノロジーセンター」(http://www.tech-center-enlightentcity.tv/whatsnew.html)。MITから自転車で30分ほど、華やかなバックベイエリアを抜けた、比較的低所得者層の住む「テント・シティ」というエリアにあります。日本で言うところの低層アパートの半地下を改造したような場所をファクトリー化しており、広さとしては50平方メートルの部屋が3つといったところです。
なお、ニール・ガーシェンフェルドがこのボストンファブラボを紹介した記事が過去のMAKEに掲載されています。
ftp://ftp.oreilly.co.jp/download/make01_sample.pdf
3室のうちひとつはMacの並ぶコンピュータールーム、ひとつは音楽室兼ミーティングルーム、最後のひとつがファブラボ(工作室)という構成になっています。ファブラボの機材は、(12”*24”のミニサイズ)レーザーカッターが2台、ビニールカッター、ローランド社のモデラ、ショップ・ボット(4’*8’サイズの大型CNCルーター)という”FabLab1.0″の王道ともいえるラインナップです。電子部品やはんだごてなどを揃えた工作台は隅々まで綺麗に整理されていました。また各種の排気や騒音対策もしっかりしており、全般的に掃除も行き届いてよく管理されていました。(飲み物は持ち込み禁止ということで、たまたま私が居合わせたときにペットボトルを持ち込んだ子供が怒られていました。
それから部屋では帽子はとる、など教育的指導もされていました。)
ここは、もともと低所得者層の子供のための無償教育施設として、寄付によって設立されたという経緯があり、毎日、演習授業が開講されています(曜日によって、パソコン教室だったり、電子工作教室だったり、レーザーカッター工作教室だったり、さまざまです)。私が取材に訪れた日も、お昼から、多くのアフリカン・アメリカンの小学生が通ってきてパソコンに向かって一心不乱に課題に取り組んでいました。現在は、運営費の半分を市からのファンド、もう半分を大学からの支援で賄っているということでした。綺麗な英語を話す典型的な「お母さん」のようなマネジャー、スーザンが切り盛りしています。
小さい頃「児童会館」と名のついた施設に通って本を読んだり絵を書いたりしたことを思い出しました。アクティビティの雰囲気はまったく同じ感じです。ただ、機材だけ、パソコンと工作機械に進化したという感じでしょうか。現代的なリテラシーを教える、日本でいえば「寺子屋」的な雰囲気があるといったほうがいいのかもしれません。
教える側はもっぱらボランティアとのことですが、MITの大学生が出入りしており、メディアラボの「Low and High Tech」グループや、「Lifelong Kindergarden」グループとの研究交流もあるそうです。ここで出会ったEd Buffyは、現在、小学生にでもハードウェア・スケッチングができるように、アルドゥイーノをスクラッチ(「Lifelong Kindergarden」グループのレズニック教授らがつくっている、子供向けのビジュアルプログラミング環境)と連携するためのウェブサービスを開発しています。彼は9月からメディアラボの大学院生(「High-Low Tech Group」所属)になりました。なるほど、FabLabからMITへ入学するという人生もあるんですね。そして「小林茂(さん)を知っているか?」と何度も聞かれました!(最近、あらゆるところで訊かれます・・・・・)
看板。
最初の部屋はPCルーム。コンピュータの授業が行われます。
次の部屋は音楽室。ゴスペルを歌ったりするそうです。
いちばん奥がFabLab。向こうに見えるのはShopBot、手前にミシン。
かなり窮屈そうではありますがShopBotが入っています。
電子工作用机。抵抗、ケーブル、はんだ、その他一式きれいに整理されています。
その隣にはペーパー(ビニール)カッター。
隅にレーザーカッター(Epilog)が収まっています。
レーザーカッターなどの作例。ペーパーカッターを銅箔で切ってアクリルに接着したものは、自作アンテナです。
Ed Baffyと私。実はこの訪問は2010年7月だったのですが、その後10月より彼はMITの大学院生となり、クラスメートとなりました。
Update! : 世界のファブラボ(3) ボストンその1 http://bit.ly/bzblGW #fablab
RT @FabLabJapan: Update! : 世界のファブラボ(3) ボストンその1 http://bit.ly/bzblGW #fablab
RT @FabLabJapan: Update! : 世界のファブラボ(3) ボストンその1 http://bit.ly/bzblGW #fablab: RT @FabLabJapan: Update! : 世界のファブラボ(3… http://bit.ly/bm3fcz
RT @tag_fablab: RT @FabLabJapan: Update! : 世界のファブラボ(3) ボストンその1 http://bit.ly/bzblGW #fablab: RT @FabLabJapan: Update! : 世界のファブラボ(3… ht …
RT @FabLabJapan: Update! : 世界のファブラボ(3) ボストンその1 http://bit.ly/bzblGW #fablab
RT @FabLabJapan: Update! : 世界のファブラボ(3) ボストンその1 http://bit.ly/bzblGW #fablab: RT @FabLabJapan: Update! : 世界のファブラボ(3… http://bit.ly/99Hevv
田中浩也さんに髭を発見しますた これはポスト安村でしかないな #fablab http://bit.ly/bzblGW
田中浩也先生に髭を発見しますた これはポスト安村でしかないな #fablab http://bit.ly/bzblGW
RT @marigomocha 田中浩也先生に髭を発見しますた これはポスト安村でしかないな #fablab http://bit.ly/bzblGW
現状の分かるレポート、ありがとうございます。
レポートにある「児童会館」の雰囲気、思い出しました。あの雰囲気にFabLabが溶け込んでいるとは、何て素晴らしい環境なのでしょう。
次回のレポートも楽しみにしています。よろしくお願いします。