2011年10月1日(土)−11月13日(日)の期間、京都市立芸術大学文化庁にてメディア芸術祭京都展《パラレルワールド》関連企画《共創のかたち〜デジタルファブリケーション時代の創造力》が開催されます。
詳細は下記を参照下さい。
コンピュータやインターネットによるメディア技術が普及する現在、制作ツールの汎用化、コンピュータ支援制作技術(CAM, Computer Aided Manufacture)などの生産技術がユーザーの創作意欲を刺激し、ものづくりのプロセスを開くと同時に新たな市場を開拓しつつある。オープンソース化を背景とした設計情報の公開は、ネットワークコミュニティの中で従来にない製品を生み出し、「ラピッドプロトタイピング」により、消費者は自ら試行錯誤して創造する喜びを得る。いわば、20世紀に確立した生産と消費をめぐる環境が、技術革新によって大きく変わろうとしているのだ。
振り返れば、消費者による創造は、DIYムーブメントにみるように大量消費社会に対するカウンターとして発生したものであり、市場経済に取り込まれないコミュニティの互助的関係に基づくものであった。その中でデザイナーやアーティストは、独創的な創作を通じて次代のものづくりを促進する一方、ユーザーとの協同による新たな創造領域を開拓していた。こうした精神は近年のメディア技術と結びつくことで、個人と社会の関係を再定義する可能性を持ち始めている。
このような環境において、デザイナー、アーティストには、ツールや技術の可能性を批評的に検証する役割と、それらの可能性を多くの人々に伝え、創造力を底上げするインキュベーターとしての役割が求められている。
さらに、工学の立場からの研究は、従来のものづくり、デザイン、そしてアートにも大きな影響を与えつつあるものである。モダニズムという様式の下に大量生産される製品の美と機能性の関係性によって語られてきた「デザイン」は、もはや全てのユーザーが創造に携わることのできる、ネットワークと生産システムを総合するプラットフォームへとその意味を変えつつある。「アート」を支える素材やプロセス、コミュニケーションの意味も、こうした環境の変化に応じて再定義される必要があるのではないだろうか。
本展覧会では、インターネットを介したオンラインカスタマイズサービス、ラピッドプロトタイピング(3Dプリンタやレーザーカッターなどの試作用工作機械による制作)を応用した作品、デザイン製品の展示、著作権をめぐる研究事例、オープンソース・デザインの事例などを紹介する。同時に、展覧会そのものを「共創」のためのプラットフォームと位置づけ、工学、デザイン、アートから「共創」の可能性を問う。