こんにちは、FabLab Fujisawa / FabLab Shibuyaの井上です。
渋谷と藤沢の両方のレポートを上げているせいか、去年あたりから「えっ、もうウチの番?」となることしばしば。とはいえ藤沢からはまだ3回目なんですね。2010年のTokyo Designers Weekに、発足間も無いFabLab Japanとしてコンテナ展に出展したのをお手伝いした時からの縁ですが、ずいぶん日本にもFabLabが増えたものだと感じます。
さて、湘南T-SITEに拠点をおくFabLab Fujisawaは、ユーザーさんの成果物をどのようにアウトプットまでご一緒するかを設立当初より意識してきました。いま、少しずつそのコンセプトが形になりつつあります。
FabLab Fujisawaのユーザーで、プロダクトデザイナーの山下公明さんとのコラボで4月23日に開催したワークショップ「ウェットスーツ素材でつくるiPhoneケース「COWBELL」を作ろう!」は、山下さんが2年近く試行錯誤を繰り返し、FabLab Fujisawaのオープンラボでプロトタイプを作っていたiPhoneケースをワークショップの形に落とし込んだものです。試行錯誤の果て、現行の形になるまでの経緯をお話しいただきながら、参加者さんが自分で材料を選び、組み立てる内容でした。ウェットスーツの端材をレーザーカッターで切り出し、腰にかけるフック部分は3Dプリンターで造形しています。デジタルファブリケーションを活かしつつ、湘南らしい素材を使った作品です。
聞くところによると、自分が着るウェットスーツにこだわるサーファーは多いようで、オーダーメイドで作られる方も少なく無いそうです。ウェットスーツに限りませんが、四角い布地に不定形の型紙を当て、切り抜いた後に残る端材の量は馬鹿になりません。このワークショップで使われている素材も、そうした端材を有効活用しています。
「なんでこのケースを作ろうと思ったんですか?」
以前山下さんにそう伺った時に印象的だったのは、
「iPhone6って、ポケットに入れるにはちょっと大きいなって思って」
スマホを鞄にしまう方には伝わりにくいかもしれませんが、確かにiPhone6を初めて持ち歩いた時は、ポケットの中でかさばる印象がありました。そうした気づきを丁寧に解決していくのは、正にものづくりの王道だと感じます。
この「COWBELL」は、将来的に商品化を意図して製作されているプロダクトです。大学でプロダクトデザインを学んでいる参加者の方は、COWBELLが作られるまでの話をとても熱心に聞いていました。同時に、山下さんにとってもこうした機会は初めてだったそうで、参加した人やワークショップを見た人からの意見が聞けて有意義な機会だったとのことでした。
ワークショップという形をとる以上フェイストゥフェイスではあるものの、作り手の思いや、その過程で培われた知見が広まるのは、他に代え難い「Share」につながったのではないかと感じています。今後も少しずつ、こうしたユーザーさんとのアウトプットを形にしていきたいと思います。